遙かなるUTMB

トレランにはまってUTMBまで行ってしまった外科医の日々のトレーニングや備忘録

腸内細菌とランニング 短鎖脂肪酸の働き

マラソンと体重は切っても切れない関係ですね。体重が減れば、マラソンやトレイルのタイムが向上することはほぼ間違いないところです。でもダイエットは色々な問題があって難しいですね。

昨年、ダイエットでかなり大きな失敗をしました。体重が軽いほど良いと考えた私は、ひたすら炭水化物を減らし、食事量も減らしましたが、減った体重はほんの僅かでした。その時は、なんで体重が減らないのかわかりませんでしたが、同時に非常に寒さに弱くなりました。冬にマラソンの会場についても明らかに人より着込んでいるのに寒かったり(高雄マウンテンマラソンで死んでました)、自分でもこれほど寒いのはこれまで経験したことがない感覚だったんです。今から考えれば、極端なダイエットで基礎代謝が激減し、おそらく体調も悪かっただと思います。というのは普通の解釈ですが、どうして極端なダイエットをしたら体調がわるくなるのかはわからないですよね?少なくとも、ビタミン剤や鉄剤はたまに摂取してましたので、いわゆる栄養不足ではなかったと思います。

 

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最近、といってもだいぶ前ですが、こんな本をよみました。非常に面白かったです。

これでなんとなく不調の原因がわかりました。

本を簡単に要約すると

1. 人は非常に多くの腸内細菌を腸に飼っている

2. 彼らの主食は水溶性食物繊維や非消化性のデンプンなど

3. 彼らはこれらの主食から短鎖脂肪酸(酢酸や酪酸、プロピオン酸)を生成する

4. 短鎖脂肪酸が、脂肪や糖の代謝さらに免疫系に大きな影響を与えている

その他、彼らは必要なビタミンを作ってくれたりと、なくてはならない存在なんです。

 

要するに、あまり食事をとらずに、かれらに餌をあげてなかったんです。だから基礎代謝が落ち、元気がなくなって、免疫機能も落ち、脂肪はへらず、タイムも悪い。。。

 

というわけで、この短鎖脂肪酸の働きを少し調べてみました

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

1. 主に酪酸(酢酸やプロピオン酸も)は腸自体のエネルギー源

2. 短鎖脂肪酸のreceptorは腸、脂肪細胞、筋肉、肝臓に存在する

3. 短鎖脂肪酸は腸のreceptorから直接脳に働きかえ食欲を抑える

4. 短鎖脂肪酸基礎代謝を高くし、脂肪の燃焼を高める

5. 短鎖脂肪酸はインスリン感受性を高める

などなどでした。

これはたくさん食事をとれる状況では基礎代謝をあげて、余計な脂肪がつかないようにし、あまり食事がとれない環境(飢餓)では、基礎代謝を減らし、脂肪を蓄えようとする、すばらしい身体の働きなんですね。。。

 

でもダイエットするときは、腸内細菌たちのことを考えて、しっかり餌をあげておけば、細菌たちは食事をしっかりと取ってると認識してくれて、健康に痩せられるってことです。

 

次回はかれらの餌について書こうと思います