遙かなるUTMB

トレランにはまってUTMBまで行ってしまった外科医の日々のトレーニングや備忘録

レース後の回復

レース後にマッサージなどをしたほうが速く回復するのか????

という研究をひとつ紹介します

www.ncbi.nlm.nih.gov

2015年にWestern States Endurance Runに出場した選手72名をランダムに3群に分けました

グループ1 ゴール後20分のマッサージ

グループ2 ゴール後20分の下肢の空気圧式コンプレッション(下の写真みたいなもの)

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グループ3 20分仰向けに寝ているだけ

レース前、3,5日後に400mのタイムを測定しています

結果1 グループ1,2は筋肉痛や疲労度の訴えがグループ3より低かった

結果2 400mのタイムはどのグループも差がなかった。

 

私見 ランダム化試験と言っても、プラセボ効果は除去できませんが、プラセボだとしても、レース後のつらい筋肉痛からはマッサージなどで多少改善できる可能性があるということです。でもマッサージしたら実際の回復が速くなることはないという結果でした。

 

もう一つプラセボ効果がどれくらいすごいかという話

www.ncbi.nlm.nih.gov

25人の平均年齢27歳、10km平均タイム39分の集団に1週間自分で生理食塩水を皮下注射してもらい、その後に3kmのタイムがどれくらい改善するかという実験です。この生理食塩水はOxyRBX という、ものすごく運動能力を改善される注射と説明して注射してもらっています。

実際は2群にわけ、注射7日としない7日を入れ替えたクロスオーバー試験ですが、難しいことはおいておいて、プラセボによって3kmのタイムが約10秒良くなりました。またプラセボを注射している期間は、肉体的に楽になり、回復力も増加したように感じたようです。この結果はドーピングで使用される(禁止されてます)エリスロポエチンの効果よりは小さいとのことですが、ランニングのタイムが如何に、精神状態(脳)により影響されるかを示すとともに、プラセボ効果の凄さを示す結果となりました。信じれば飲む酸素も効果ありということです(笑)。