遙かなるUTMB

トレランにはまってUTMBまで行ってしまった外科医の日々のトレーニングや備忘録

運動後アイシングの効果

怪我をした時や、脚を痛めている時にアイシングをすることはあると思いますが、普段のランニング後にアイシングをしている人は少ないのではないでしょうか

私も全くしません

アイシングの効果は色々研究されてきていますが、今回はアイシングをすることで、足が速くなる可能性についての研究を紹介します

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24561815

 

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方法 9人の男性(平均年齢25歳、平均VO2Max 52)を70%の力で30分走った後に、100%の力で疲労困憊まで走ってもらいます。その後、片足だけ10度の水につけました(15分)。3時間後に両方の大腿四頭筋から生検(biopsy)して筋肉内のPGC1発現をみています。

 

結果 運動直後には深部体温は39度以上になていました。3時間後、冷やした足のPGC1の量は冷やしていない方に比べると約3倍になっていたそうです。

 

私見 PGC1は転写因子であり、ミトコンドリアを増やしたり、血管の増生にかかわります。つまりPGC1が出ると、足が速くなります。PGC1は、インターバルトレーニングや寒冷刺激、飢餓などで発現が増加するといわれています。今回片足だけ冷やすことで、全身を冷やしてヒーヒ言わなくても、足だけ冷やせばよいことが示されました。

今回の研究の問題点は、冷やす前に運動することが必要なのかどうかが検証されていないことです。ただ足を冷やしても、おなじくらいPGC1が上がるのかどうか、または運動することが重要なのかが、知りたいところだと思いました。

いずれにしろ、怪我の予防と一石二鳥ですので、夏場はどぶん、または風呂場に冷水をためて、浸かるのもよいのかもしれません。