遙かなるUTMB

トレランにはまってUTMBまで行ってしまった外科医の日々のトレーニングや備忘録

ハセツネ 2018

一度は出てみたいと思っていたものの、「渋滞がすごい」とか「自分の実力が如実にわかる」とか「次の日に帰ってこれない」とか色々理由をつけたり心配したりで、ずっと回避していたレースだけど、「やっぱりトレランをしていたら一生に一度は出てみたい」とクリック合戦に参加したら、あっけなく関門突破できてしまった。

ついでに公式地図を800円で買ってみて、送ってきた標高図をみたらこんなかんじ

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これだけみるとだらだら登って、だらだら降りるだけにみえる。それも里山だし。

でも累積4500mとか書いてある。70kmで4500mってかなりすごい。いまいちイメージがしにくい。友人でもありライバルでもあるTakeさんが去年完走していたから、連絡してみたら、やっぱり4500mくらいあるとのこと。「結構走りごたえがあるエエコースですわ」なんて教えてもらった。

ちょうどレースの1週間前に東京で仕事があり、ついでに東京に移住したショーヤンと一緒に後半の試走に行く予定だったけど、台風がきて泣く泣く断念。結局あまり情報がないままレースを迎えた。補給は約40kmの地点の月夜見第2駐車場で水かポカリ1500mlが支給される。どちらかだけなのかと思ったけど、配分は自由にもらえた。

Takeさんによると水は前半1500mlで行けますよとのことだったので、前半はハイドレに1500ml入れて、後半はボトル600x 2で行くことにする。

レースは13時だから京都から当日行けないこともない。当日京都駅6:38出発すれば10:49に会場の武蔵五日市駅に到着する。

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ただ、この新横浜からが結構遠くて会場についたときにはへとへとというのも嫌だったので、前日宿泊することにした。レース後は電車で5駅くらいの昭島駅のホテルS&SモリタウンというところをTakeさんと一緒にとっていたので、そこにしようとしたらもういっぱいだった。仕方なく八王子駅前の東横インに宿泊。初めて行った八王子は結構DEEPな街だったけど、次の日レースだからおとなしくホテルで寝ることにした。

すぐに眠れるようにと、家にあった「下町ロケット」を持ってきたら、あまりにも面白くて、とうとう最後まで読んでしまい、気がついたら夜の2時。。。何をしているんだかという感じ。なんとなく目が冴えてあまり良く眠れず、さらにカーテンを閉めるのを忘れていたためもあり、朝7時には目がさめてしまった。ちょっと後悔。

11時頃会場に行く予定でゆっくりと電車にのる。

今回は久しぶりの焼鯖寿司を買っておいたので、9時過ぎに食べた。うまい。

当日は過去最高の暑さで予測 32度とか

前回優勝の上田瑠偉選手はツイッターで自分なら水3lもっていくとのこと...

装備

northfaceのエンデュランスベスト

ハイドレ 2000ml+CCDドリンク4袋 170 x 4 = 680kcal

ボトル2本にCCDドリンクの粉だけ入れる 170 x 2 = 340kcal

雨具上下

指なし手袋

LedLenser SE07RとH8Rの2つ持ち SE07Rは腰につける(結局使わず)

自作大麦クッキー6本 300kcal

PowreGel Shots オレンジ 3袋 211 x 3 = 633kcal

合計 1953kcal  (実際の摂取カロリーは1600kcalくらいでした)

これでも約3.6kgくらいとかなり重い

重いのは苦手。。。

レース

いよいよレース前1時間。Takeさんと並ぶ。先頭に並んでしまったけど、どんどん10時間のプラカードのところに人がたまる。9割位の人は絶対10時間とか無理やろ、みたいな人ばっかりだけど(笑)どんどん天気が良くなり直射日光が刺すように痛い。

初めてで全然予測もつかないコースだけど、去年のTakeさんが第一関門まで3時間5分ってことだったから、大雑把に3時間くらいと考えておく。ハセツネは第1関門、第2関門、ゴールとおよそ3:3:4くらいの時間になるらしい。事前に追い上げ型の静岡の伊藤健太さんのタイムをみてたら、およそ3:3:3くらいだったから3時間3時間3時間くらいを目安にしていた。

 

さてレーススタート

ものすごい勢いでみんなが走り始める。さすがにめちゃくちゃ速くないけどそれでもすごい速さ。女性の転倒があった。大丈夫だろうか。。。どんどん後ろから抜かされて200番くらいでトレイルに入る。Takeさんはすごい速さで見えなくなった。当然渋滞しているけど、ゆっくり動く程度の渋滞でせいぜい1,2分のロス程度。脈拍は140までと思っていたけど、やっぱりみんなのペースが速くて145くらいまで上がってしまっている。荷物も重いし体調も絶好調ではない。今熊神社にはいり急な石段を登っていると目の前に円井さん発見。去年9時間くらいで招待選手だ。久しぶりにあえて声をかける。どれくらいのペースか聞いてみると、もうちょっと頑張れば第1関門まで3時間程度とのこと。なんとなく心強いけど、すこしずつ円井さんのペースが速くてすこしずつ離れてしまった。Takeさんからは、最初以外、基本走れますよって聞いてたけど、急登ばかりで全然走れないし時間だけがたっていく。こんなコースを7時間とか信じられないなあって思いながら歩く。何回も何回も登っては下って登っては下って、もうだいぶ登ったと思ってるのに標高600mとかでがっかりする。醍醐丸のあたりで丹羽薫さんが応援していて、「調子はどうですか?」って聞かれる。「まあまあです」って答えておいたけど、まだ15kmくらいなのに結構疲れていた(笑)。なんで?っていうくらい小さいアップダウンがある。そしていよいよ第1関門の浅間峠に到着。なんと3時間15分(82位)。去年の10時間をちょっとだけ切ったTakeさんより10分も遅い。三重の阪田さんはハセツネで10時間きれなかったら「Trail runner」じゃなくて「Trail walker」やとTakeさんは言われていたらしく、このままではwalkerになってしまう。水は背負っているとどれだけ残っているのか全然わからない。たまにバックを揺すってまだあることを確認する。まだ半分くらいはありそうだ。このあたりから心拍計が下がってきて違和感がでてきた。今回は腰にライトを巻いているせいもあり、簡単に心拍ベルトを上にあげれない。腹が立って外してバックにしまってしまった。もう疲れているから頑張りすぎることはできないので心拍計はもういらない。3:3:4と時間はいわれるけど、最初みんなすごい飛ばして3:3だから次の区間はもう少し速くいけるのではと期待しながら、同じペースで進んでいくと、前にTakeさんがいた。「やっぱり飛ばしすぎやなあ」って思いながら声をかける。しんどそうでしばらく一緒だったけど先に行くことにした。じきにトレイルは暗くなってきて、ライトを装着。ひたすら目の前の登りを歩き、目の前の下りと平地をはしることを繰り返す。基本的にこの区間は少しずつ抜いていくばかりで抜かれることはない。トレイルフェストの中谷君が潰れていて追いついてしまった。潰れ方が半端なく、トップ選手でも難しいレースなんだなと思う。第2関門のエイドまで最高峰の三頭山1527mに登ればあとは下り基調。それでも細かい登りが随所にあってなかなかエイドにはつかない。ようやく、ロードに出て、そろそろエイドと思って思いっきりハイドレを飲み干したら、そこからしばらくトレイルがあってちょっと後悔した。エイドは8ブースくらいあって、ポカリと水が並んでいる。まずポカリ500mlを一気にのみほしてボトルに水500mlづつを入れてもらった。ビーカーで測るほど厳密ではなく、ボトルにだいたい入れてくれる。

時間を見ると6時間20分(44位)。この区間は3時間5分だからまずまずのタイムでこれている。疲れているからあと3時間30分くらいでまとめたらなんとか10時間切れるなあなんて考えていた。ここからしばらく急な下りが続く。いままでハイドレが後ろにあって、いきなり前にボトル2本になったせいか、荷物の重心バランスが大きく変わって急に走りにくくなった。どうしても走れず、ボトル一本を後ろにしまったらすごく走りやすくなった。あと大きな山は2つのみ。御前山と大岳山だ。ポカリを一気のみしたせいかどうかわからないけど、急に脚に力が入りにくくなってしまう。御前山にむかっていると、トレイルがどんどん急登になってきた。横にロープもあるから一応トレイルだけど、本当にコースなんだろうかって思うほどの急登になった。だいぶ登るけどどんどんトレイルが荒れてきてマーキングがない。これはおかしいと思って諦めて下る。しばらく下ると、女性ともうひとり選手が登ってくる。「このコースであってますか?」って聞くと女性ランナーは自信をもって「あってますよ」って返してくるので、また引き返して登っていったけど、しばらくして「あれ、違うのかな?」なんてつぶやかれた。おかしいと思ってまわりを見渡すと、下の方にぜんぜん違う方向に流れるランナーを発見。やっぱり間違っている。道なき山道をおりてなんとか正しいコースに復帰したものの、疲労がさらに強くなり、平地や下りでもすこし歩きがまじってしまうようになる。当然どんどんスピードが落ち、女性2,3位にまで抜かれてしまった。さっきまでどんどん上をぬかしてたのに、なんか大違いだ。どんどん精神的には落ち込んで、リタイヤしたい気分になる。すこし吐き気もするし、かなり脱水な感じもする。むりやりPowerGelを食べながらだらだらと歩いていくと大ダワっていうところに到着。その後、大岳山にむかう。全然楽しくない。大岳山は上の方は結構な岩場で、なんか上州武尊みたいだった。面白いコースで急に楽しくなってきて、もっと楽しまないとと思ったり、UTMBの苦しさから比べたら全然苦しくない!って思いだしたら、急に楽になってきて走れるようになった。下りもどんどん走れるようになってどんどん抜かせるようになる。水も切れてきたけど御岳山の手前に自然水があるはずだ。自然水の手前にボラのかたがいて、もうすぐ水があることを教えてくれる。水にたどりついて500mlを一気に飲み干したときの美味しさは一生忘れないくらいの旨さだった。さらにもう少しのんで、ボトルに水を補充する。すっかり元気になってどんどん走る。さらに次の水場で水を補給していると、「文さんおいつきましたよ!」という声が。Takeさんと中谷くんと一緒に頑張ってきたらしくとうとう追いつかれてしまった。こっちも元気だったから「追いつかれた」じゃなくて、また会えたのが嬉しくて、「一緒にいくわ」ってなって、3人で猛スピードで走り始めた。3人の気持ちが1つになるというのもあるし、ここから脱落はできないわという重圧もあり、どんどん走れる。ペーサーって重要なんだなあって思った瞬間だった。こんな3人に抜かれる方はたまったものじゃないと思うけど、3人でどんどん抜いていく。

「頑張ったら10時間きれる?」って中谷くんに聞くと、それは無理ですとのことだったけど、どんどん走る。日の出山もほぼ走って登り、ここからゴールまではは本当に遠かった。一人で走ってたらきっと歩いていただろうなあと思うくらいだらだらとした道が続く。実際の距離は10kmほどだけど疲れもあるのか本当に長く感じた。ここは試走しておいたほうが良いなあと思ったところだ。最後どれくらいでゴールできるかわかるのは本当に重要だと思う。今回はあとどれくらい?って聞きながらだったから大丈夫だったけど。最後はロードにでてあっというまにゴールがある。3人で仲良くゴール。いろんなレースにでたけど、こうして一緒にゴールすることは数少ないけど本当に楽しかった。ゴールは10時間33分(36位) Trailwakerにしかなれなかったけど、今はこれくらいの実力なんだと思う。

GPSモードのせいで距離は不正確だけど、この標高図はすごい。良くこんなにギザギザになるもんだ

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ゴール後が大変だった

グダグダしていたら終電に間に合わなくなった。

タクシーで帰ろうとTakeさんと一緒に駅にいくけど、タクシーなんか走っていない。電話してももう営業していないとか言われる。タクシー乗り場にポロポロと人がいて、聞くとたまにタクシーが来るという。本当にたまにしかこなくて、結局1時間以上待って、なんとかTakeさんがタクシーをつかまえてくれて午前2時にホテルに着く。近くのラーメン屋で生ビール2杯、ラーメン、餃子と食べて寝た。

来年はクリック合戦に勝てればTrail runnerになりたいです