彼ら(腸内細菌)の餌
腸内細菌は色々な種類がいるけど、重要なのはその多様性と、いわゆる善玉菌の割合らしい。で善玉菌の餌はずばり水溶性食物繊維 だ。
ちなみに食物繊維 - Wikipediaとは人の消化酵素で分解できない食物の総称であり、その中で水に溶けるものを言うらしい
また、彼らはデンプンも食べるが、デンプンは通常腸で消化される。しかし、デンプンが糊化したり、消化酵素が届きにくいなどから分解されにくいデンプンがあり、水溶性食物繊維と同様の働きをもつとされている。これらをレジスタントスターチ - Wikipediaという。その他としてオリゴ糖 - Wikipediaもどうやら好物らしい
これらをまとめると
- ペクチン(りんごなど果物)
- グルコマンナン (蒟蒻畑)
- βグルカン (大麦、きのこ)
- イヌリン (ごぼう、きくいも)
- 難消化性デキストリン(トクホのお茶など)
- アルギン酸ナトリウム、フコイダン(海草類)
- レジスタントスターチ(タイ米、ばなな)
- オリゴ糖
などとなる。
これらを一日10gくらいはとらないといけない(不溶性と合わせて20gが目安)
食品として摂取することが望ましいとは思うが、安価にamazonなどで手に入るのもを青色で示しておいた。βグルカンも買えるが非常に高価。
食品でのおすすめ(摂取量が得られそうなものを独断と偏見で掲載)
1. 大麦(押し麦)比較的美味しく大量にも食べれる。βグルカンの含有量がピカイチで6g/100gも入っている。またレジスタントスターチの含有量もおそらく5g前後はありそうで、10%程度は彼らの餌になるスーパーフードである
2. らっきょ これは野菜のなかで堂々の1位。100gで約18gが食物繊維である。スーパーで一袋買ってぼりぼり食べればすごい量の食物繊維が摂取可能である。これに比べてキャベツなんか100gで0.4g。
3. アボガド 100gで1.7gと多くはないが、有益な脂質も摂取できるスグレモノ。ちなみに野菜ではなく果物。バナナも食物繊維は少ないがレジスタントスターチが多いため、小腹が減ったときにはおすすめ。
4. 納豆 100gで2.3g 1パック50gが多いから1.15g。決して多くないが豆類の中では食べやすくなかなかの値。
5. 海草 かなりはいっているらしいが、分析が難しいのか正確な値が不明。海草を消化できるのは日本人に特異的であり、海草を分解する特殊な菌が日本人だけにいるらしい(全員ではないが)。
結局含有量の多いものを食べても平均すれば2-3%程度。10gを食べようとすると500gの食品を摂取する必要がある。現代社会ではなかなか厳しく、私はイヌリンとオリゴ糖、難消化性デキストリンのお世話になっている(笑)。
ロングトレイル(8時間以上)走るとき、だんだんご飯が食べれなくなったり、下痢したり、吐き気がしたり、そんな経験あるひとは有りますよね。原因は色々だと思いますが、ひとつには腸内の血流低下、活性酸素などから、腸内環境の悪化が原因だと思います。補給もゼリーや水分ばかり。きっと腸内細菌が怒っているのです。そこで私は最近、オリゴ糖を定期的に摂取しています。これをしはじめたはじめてのレース”おんたけ100km”で5位になり、やめれなくなりました(笑)。
本日そのONTAKE100mile クリック合戦敗戦。。。。
さあ、がっかりせず週末の別府大分がんばるぞ!
腸内細菌とランニング 短鎖脂肪酸の働き
マラソンと体重は切っても切れない関係ですね。体重が減れば、マラソンやトレイルのタイムが向上することはほぼ間違いないところです。でもダイエットは色々な問題があって難しいですね。
昨年、ダイエットでかなり大きな失敗をしました。体重が軽いほど良いと考えた私は、ひたすら炭水化物を減らし、食事量も減らしましたが、減った体重はほんの僅かでした。その時は、なんで体重が減らないのかわかりませんでしたが、同時に非常に寒さに弱くなりました。冬にマラソンの会場についても明らかに人より着込んでいるのに寒かったり(高雄マウンテンマラソンで死んでました)、自分でもこれほど寒いのはこれまで経験したことがない感覚だったんです。今から考えれば、極端なダイエットで基礎代謝が激減し、おそらく体調も悪かっただと思います。というのは普通の解釈ですが、どうして極端なダイエットをしたら体調がわるくなるのかはわからないですよね?少なくとも、ビタミン剤や鉄剤はたまに摂取してましたので、いわゆる栄養不足ではなかったと思います。
最近、といってもだいぶ前ですが、こんな本をよみました。非常に面白かったです。
これでなんとなく不調の原因がわかりました。
本を簡単に要約すると
1. 人は非常に多くの腸内細菌を腸に飼っている
2. 彼らの主食は水溶性食物繊維や非消化性のデンプンなど
3. 彼らはこれらの主食から短鎖脂肪酸(酢酸や酪酸、プロピオン酸)を生成する
4. 短鎖脂肪酸が、脂肪や糖の代謝さらに免疫系に大きな影響を与えている
その他、彼らは必要なビタミンを作ってくれたりと、なくてはならない存在なんです。
要するに、あまり食事をとらずに、かれらに餌をあげてなかったんです。だから基礎代謝が落ち、元気がなくなって、免疫機能も落ち、脂肪はへらず、タイムも悪い。。。
というわけで、この短鎖脂肪酸の働きを少し調べてみました
1. 主に酪酸(酢酸やプロピオン酸も)は腸自体のエネルギー源
2. 短鎖脂肪酸のreceptorは腸、脂肪細胞、筋肉、肝臓に存在する
3. 短鎖脂肪酸は腸のreceptorから直接脳に働きかえ食欲を抑える
5. 短鎖脂肪酸はインスリン感受性を高める
などなどでした。
これはたくさん食事をとれる状況では基礎代謝をあげて、余計な脂肪がつかないようにし、あまり食事がとれない環境(飢餓)では、基礎代謝を減らし、脂肪を蓄えようとする、すばらしい身体の働きなんですね。。。
でもダイエットするときは、腸内細菌たちのことを考えて、しっかり餌をあげておけば、細菌たちは食事をしっかりと取ってると認識してくれて、健康に痩せられるってことです。
次回はかれらの餌について書こうと思います
睡眠時心拍数
前々から一度してみたかった睡眠時の心拍測定、ブログを始めたのをきっかけにしてみました。胸ストラップ式しか持ってないので、寝転がるとベルトが布団にすれてすごい違和感。。。まあ、いつのまにか落ちてました。
朝、目覚まし時計で起きて、測定してたのを思い出しました。Ambitみて、、、、うん?35???間違いか???
もぞもぞすると、すぐに40くらいになったけど、じっとしていると38くらいに。朝は低いんだ、と思いながら起き出す。あほなことしていることを家族にばれないように、さっと胸ベルトを外し、こそこそとログをみた結果がこれです。
多分30分くらいから眠りにつき1時間くらいから細かく心拍が上がっています。よくわかりませんが、non-REM睡眠(頭はねていて身体は動く)?。寝返りなどの体動による心拍増加でしょうか。そして、2時間前から3時間15分くらいまで、変動の大きい突発的な心拍上昇はREM睡眠(頭がおきていて、交感神経活動が盛んになるらしいです)のようです。REMとnon-REMが何回か繰り返して朝になりました。安静時はだいたい36-7くらいで、こんなに低いのならもっと足が速いはず?練習不足?なんでしょうかね?
睡眠時に心拍数が下がらないときはオーバートレーニングの兆候らしいですが、全然そんなことはないようです。
トレーニングもっとしろってことだな。。。。
高強度インターバルと中等度、低強度インターバル
インターバルトレーニングは高強度短時間のsessionをくりかえるのが良いのか、それとも中から低強度の比較的長い時間のsessionを繰り返すほうがよいのでしょうか。ちょっと調べてみました。
有名なのは超高強度のtabataですね。。。
1. 20歳前後のエリートスキーヤーでの比較
比較
高強度群 2-4分のsessionの繰り返し(Total 15-20分)
低強度群 5-10分のsessionの繰り返し(Total 45-50分)
結果
低強度軍の方が7km hill runningのパフォーマンス、最大酸素摂取量などの改善に優れていた。
2. 良くトレーニングしているトライアスリートでの研究
比較
高強度群 10-40秒のsessionの繰り返し9-11回
低強度群 5分のsessionの繰り返し6-8回
結果
両群とも最大酸素摂取量の増加を認めたが、5kmのランニングスピードが上がったのは低強度軍の方だった
私見 高強度のインターバルは短時間で終わってそれなりの効果はあるようですが、やはりボリュームとしては少なく、もうすこし時間をかけたほうが良いようです。公務員ランナーの川内さんもインターバルのタイム設定はとても遅いらしいですが本数をこなすようです。どうしても速く走ったほうが速くなる気がしますが、そうでもないようですね。
最大酸素摂取量 VO2max
最大酸素摂取量(VO2max)は1分間あたりに身体で消費される酸素量のことです。VO2maxは中距離から長距離の走力をある程度反映し、特に中距離走のタイムと相関が高いことがわかっています。また坂を登る能力もVO2maxと相関が高いと言われています。VO2maxが高いとはどういうことかを考えてみたいと思います。
酸素を運ぶのは赤血球中のヘモグロビンです。血液100mlでおよそ酸素5ml(1気圧で)が組織に送り込まれます。血液中に物理的に溶ける量はわずか0.3mlです。どれだけ組織で酸素が消費されたかを測ったものが酸素摂取量です。
余談ですが高濃度酸素水なんかもし酸素が溶けてたとしても、飲む瞬間にはほとんどの酸素は大気に逃げてしまいますね。百歩譲って、胃の中に入っても血液中にはほとんど溶けませんので組織に移行する量はほんのわずかです。もし本当にすごい量の酸素が摂取できたら水中で高濃度酸素水飲みながらダイビングできますね。
VO2maxを決める因子とて次の3つが候補となります。
1. 心肺機能
2. ヘモグロビン濃度
3. 筋機能
どれが一番VO2maxを決めているのでしょうか?
実はほとんど1,2で筋機能の関与は比較的少ないと言われています。これは高地で酸素供給量が変化したり、血液ドーピングをしたりすると、そのままVO2maxは影響をうけるという結果から推測されています。
というわけで順に説明していきましょう
肺機能 一般的には肺活量が運動能力を決めているということはなさそうです。というのも最大運動時でも1分間の換気量は120lくらいらしく、これは安静時に最大に努力した場合よりかなり低いようです。もちろん、肺活量が大きかったり、呼吸筋が強いほどよいとは思いますが、トレーニングの重要ターゲットではなさそうです。実際に呼吸筋を鍛えるトレーニングがVO2maxやパフォーマンスに全く効果がなかったという報告あります(Does respiratory muscle training increase physical performance? - PubMed - NCBI)
心機能 身体に送り込める酸素量は心臓から送られる血液量に正比例します。そしてこの血液量は 心拍数 x 1回あたりの心拍出量になります。つまり、運動時の心拍数が高く、さらに血液を送る左心室が大きく強いほど心機能が良いということになります。悲しいことですが、この能力はかなり若いうちに決まってしまうようで、歳をとってからはあまり大きな改善はみられないようです。さらに悲しいことに最大心拍数は歳とともに下がってきて、概ね 220-年齢程度といわれています(個人差が激しいです)。とはいえ、適切なトレーニングで少しでも鍛えたいですよね。
心機能のトレーニング トレーニングとしては大きく分けて、ペース走と高強度インターバルトレーニングで分けて研究されていることがほとんどです。ペース走は60-70%VO2maxの強度、高強度インターバルトレーニングは1分高強度-1分rest x 10みたいなトレーニングです。どっちが心臓を強くすると思いますか?
あまり正確にはわかってませんが、ペース走なんです。どちらのトレーニングもVO2maxを増加させますが、ペース走では心機能が、インターバルでは筋機能が改善します(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20473222)。心臓は比較的低い強度の運動で、一回拍出量は頭打ちになり、それ以降は心拍数が増加するだけとなります。要するにある程度の運動強度で心筋は最大限の力を出していることになりますので、長期間の運動のほうが心機能には重要だということです。
筋機能 筋機能は比較的単純に考えることができます。筋肉を動かしているのはATPですが、要するにたくさんのATPが作れれば長距離では足が速いということになります。ATPを作っているのはミトコンドリアですので、ミトコンドリアの機能が高く、数が多く、さらにATPを作るのに必要な酸素がたくさん来るように毛細血管がたくさんあれば良いことになります。ミトコンドリアは、ほぼ母親から遺伝しますから母親が優れた長距離選手や長寿家系なら優秀なミトコンドリアを遺伝していることになります。質は仕方ないにしても増やせばよいということで、ミトコンドリアを増やすにはPCG-1aという転写因子が筋肉内で増加すれば良いことがわかっています。だから、このPCG-1aが増える運動をすればよいということです。これはインターバルトレーニングなどの高強度トレーニングで増えることがわかっています。注意すべきはVitC, Eなどのサプリの摂取がPCG-1aの増加を抑制する働きがあることがわかっています(Vitamin C and E supplementation hampers cellular adaptation to endurance training in humans: a double-blind, randomised, controlled trial. - PubMed - NCBI)。抗酸化サプリは身体に良いかもしれませんが、摂取しすぎると、自分自身の抗酸化能力の発達を妨げる可能性があるようで注意が必要なようです。
ヘモグロビン量ぬかしました。鉄をしっかりとれということです。ランナーは貧血に注意。ヘモグロビン量が15から13に下がったらタイムはフルマラソン3時間の人は3時間30分かかることになります。それくらいヘモグロビン量は重要です。
ぐだぐだ書きましたが、結局VO2maxを高めたかったら、ペース走もインターバルも両方バランス良くしろということで、伝統的な練習方法はやはり正しいですよ、ということでした。
UTMBゴールタイムの予測(ITRAポイント)
はじめての、それも外国のレースでどれくらいのタイムでゴールできるか全然わからないですよね!こんな時に少し参考になるのがITRAポイントです
ITRA (International Trail Running Association)が独自に大会の距離と累積標高とゴールタイムからポイントを算出しているようです。例えばこの点数は私のものですが、GENERALが最近のレースの平均をとっているようで現在694点です。CCCだと700点以上で抽選なしで参加できますが、UTMBなら750点で参加可能となります。
ここで昨年のUTMBで例えば26時間前後で走った人の名前でポイントを検索してみましょう。
この時間で走るにはITRAポイントで739点の実力が要るということです。私の最高点が719ですからまあ頑張れば行けないことはない。。。
というわけでこの時間を目指してトレーニングに励みたいと思います。
UTMBタイムチャート
UTMBではトップ選手のタイムチャートが入手できます
それぞれのチェックポイント間の距離、累積登り、下りのデータがありますのでトップ選手がどのようなペース配分をするのかが検討できます
アップダウンがあるので、そのまま平均ペースを出すとよくわからなくなりますので、推定距離を実際距離+累積登り(m)/1000x9
(10kmで1000m上りなら19km)
と推定してみました。要するにずっと平地だと換算したときのペースです。
すると、総距離は 258kmでトップ選手は出だしの15kmほどは3:30/kmくらいで走るようです。恐ろしい速さ。。。。
ここで目標タイムを26時間に設定してみました。かなり強気の目情ですがこれで総合30位くらいです。
26時間をトップ選手と同様に比例配分すると表のtarget timeになります。258kmのレースで出だしがsub3ペースはやはり速すぎる気がします。よく見るとどんどんペースは落ちて後半100km以降はkm6-7分です。平均ペースは6'11.
そこで、もう少しゆっくり入って100kmまではkm6のペースで、100km以降を6'15のペースにしてみました(presumed pace)。ここから実際に登りを考慮したペース(presumed actual pace)を逆算し、チェックポイントのtarget timeを計算したのが次の表です。
緑の囲いが一定ペース(6'00-6'15)での目標タイム。target time2がtop選手と同じペース配分の場合、黄色がトップ選手の通過タイムです。
なんとか暗くなる前にゴールしたいですね