接地時間
走っているときの接地時間て短いほうが良いのか、それとも長いほうが良いのか?
一般的に接地時間が短いほうがランニングエコノミーが良いと言われていることが多いと思います。筑波の吉岡先生が書いている「毎日長い距離を走らなくてもマラソンは速くなる」にも着地は短いほうがランニングの経済性が良くなるといった記載があります。
個人的には
1. 身体を前に進ませるのは地面に接地している時間のみであること
2. 接地が短時間になると、爆発的な力が必要となるため速筋が多く使われる可能性があること
から、本当にそうなのかは懐疑的でした。
今回、Plyometric trainingの効果をウルトラマラソンランナーで検証した研究があるので紹介します
対象 ウルトラマラソンランナー男性25名(平均年齢は38歳前後)一部はウルトラマラソンの代表選手でVO2maxの平均が55ml/kgminです。 全員が筋トレやプライオメトリックトレーニングなどは行っておらず、最低でも週60km以上走っているランナーです。
方法 これをランダムに2群にわけてコントロール群(これまでどおりの練習)とエクセサイズ群(これまでの練習+週3回のプライオメトリックトレーニングや筋トレ)を3ヶ月してもらいました。
トレーニング内容 少しずつ増やしていったようですが、
最初4週 コアトレーニング(プランク、サイドプランク、スーパーマン)9セット、つま先歩き、かかと歩き、お尻キックを3セット、片足スクワット、ステップ台昇降2-6セット
次の4週からはさらに、もも上げ、ランジ、縄跳び、カウンタージャンプ、スプリットスクワットなどを追加して約30分間行った。
結果1 グラフはランニングエコノミーを表しており、小さい値程よい。黒がトレーニング前、白がトレーニング後、4種類のスピードでいずれもランニングエコノミーが良くなっていた。
結果2 興味深いことにtc(接地時間)はトレーニング後に延長し、ta(滞空時間)は短縮している。接地時間が長いほうがランニングエコノミーが良いという結果になる
まとめ ウルトラマラソンのような速度でも、筋トレやコアトレーニング、プライオメトリックトレーニングでランニングエコノミーが約4%程度よくなる。これは100kmレースであれば7時間のひとが、6時間48分になるくらいの影響があるらしい。
同じ速度であれば、接地時間は長いほど良いという結果となった。ただこれとは逆の研究もあって、それによると神経筋接合部の機能がよくなることで接地時間が短くなるという話のようだ。結局、接地時間が短いほうが良いのか長いほうがよいのか最終的には結論はでていないものの、自分でわざと接地時間を短くしたり長くすることはおそらく良くなくて、トレーニングを通して自然に一番経済的なフォームが身についていくのだと思う。そのなかでも積極的な筋トレは有効であるという報告は多い。