遙かなるUTMB

トレランにはまってUTMBまで行ってしまった外科医の日々のトレーニングや備忘録

信越五岳トレイルレース2019 ペーサー

半年か1年前か忘れたけど、どういうきっかけかも忘れたけど、ライバルのTAKEさんから信越のペーサーを頼まれた。昔は遅かったけど、今はすっかり速くなってしまったTAKEさんは100マイルの経験も随分豊富になってきて、石川さんの大ファンである。石川さんの主催するレースで10以内入賞をもぎ取って、石川さんから表彰されるのがTAKEさんの夢だ。あんまりTAKEさんのこと書くと怒られそうだから、これくらいに。。

 

信越のペーサーは申込みがいる。当日朝に受付してたら、申込みしてなかった人が来ていて、だめです!って言われていた。今後、ペーサーをしようと思っている方は必ず申し込みがいることを忘れないで!

 

信越はone wayのレースだからスタートとゴールが違う。ペーサーは黒姫合流だけど、いかんせん動線がよくわからない。

f:id:bungo1103:20190917203120p:plain

選手は18:30スタートで、ペーサー合流はトップ選手でも朝7時頃になる。黒姫は広大な駐車場があるから車で来ることは可能だが、ホームページには車を置いておいてはいけないと書かれている。今回、僕とTAKEさんは、黒姫ライジングサンホテル(有料の仮眠所と書いてあるけど、ベッド2つと和室もある広い部屋だった)に予約を入れていた。ホテルは快適だった。風呂も広く、ホテルの従業員のかたがたも非常に親切である。おまけに大会翌日の朝食も美味しかった。

 

今回、スタートに間に合いたかったので、土曜日のお昼に京都を出発して、高速で延々6時間(高速代9000円くらい)で斑尾高原スキー場のレストランハイジ(左の丸)に到着する。駐車場は完備されているが、夜は暗くなるので、必ずライトを持っていかなければ、暗くなるともはや車まで戻るすべはない。

f:id:bungo1103:20190917203859p:plain

斑尾高原スキー場は昔スキー好きだった頃に10回以上来た大好きなスキー場だ。バブルの頃でスキーのリフト待ちがえげつなかったw。

f:id:bungo1103:20190917204245p:plain

さてスタートが近づくと、コースの両側にすごい人の応援ができる。殆どは、次の日の110kmの選手かな。

f:id:bungo1103:20190917204337p:plain

f:id:bungo1103:20190917204446p:plain

TAKEさんは怪我もなく、順調にできることはしたようだ!

さあスタート。自分のレースじゃないのに緊張してきたあ。

スタートして12,3分で選手はスキー場を100mほど登ったところを通過する

多くの人が上まで上がって、その間を選手は通過する

f:id:bungo1103:20190917204702p:plain

応援で声がかれてしまった。TAKEさんは70番くらいか。いい位置で通過。呼びかけてしっかりハイタッチ!。

このあと、地図の右のまるのレストランバンフが1つ目のサポートポイントだ。

チーム山本山のしょーやんと、サポートしてくれた、きよしさんや、吉岡さんと再開してみんなでわいわいとバンフでまつ。2時間15分くらいで先頭の選手が到着。すごい速い。次はだれかと思ったら、なんとパイセン(中根くん)、正確にはいちごぱいせん(IPS)。パイセン汗だく、、飛ばしすぎちゃうかなあとかみんなで話す。次々と有名選手が通っていき、48番目に、TAKEさんが到着。みんなで「監督!」って叫ぶ。滋賀一から彼は監督になってしまったようだ。託されていた、補給食をわたして送り出す。次はアパリゾートがアシストポイントだけど、運転やなんやかんやでかなり疲れてきている。とりあえず、夕食とチェックインをと思い、しょーやんたちと別れて、車でホテルに向かう。途中、「なうまんぞう」で有名な野尻湖をとおり、セブンイレブンを発見。なんと、カップ麺しか残っていなかった。しかたなく、カップヌードル大盛りと焼き鯖と、アーモンドを買う。ホテルにお湯がなかったら困るからと、車で食べてしまった。なんとなくわびしかった。ホテルに到着して、部屋についたら、お湯も沸かせて冷蔵庫も完備されていた。終わったあとの祝杯用にビールを買っておいて冷蔵庫に入れようとしたら、すでに500x2本用意されていた。TAKEさん用意周到やな。。

さあ、アパリゾートにいくかどうか迷いながら、大浴場で温まったら、すっかい応援に行く気がなくなってしまったというか疲れて動けなくなってしまた。「TAKEさんごめん!、寝とかんとばっちりペーサーできへんから」と口に出して謝って、寝た。

突然、電話がなる。TAKEさんだった。AM1:30

「ぶんさんすみません、ちょっと予定より遅れていて、もうすぐあぱにつきます」

「ごめん、疲れてホテルで寝てた」

「全然いいですよ」と優しいTAKEさんは落ち込みながらも許してくれた。

悪いことしたなあって思って、しばらく寝付けなかった。順位は少しずつ上ってきている。

次は5時頃に目が覚める。順位が気になる。少しずつあがってきて20番台に突入している。予定通り。もう少し寝ようかどうか迷ったけど、だんだん興奮してきて眠れなくなったから起き出す。買っておいた、焼鯖寿司を食べて、とりあえず黒姫のポイントに受付をしにいった。まだほとんど人がいないけど、ちょうどアメリカから参戦の藤岡さんが到着されていた。藤岡さんみたいな強いひとでも少ししんどそうに見えた。TAKEさんはあと1時間以上はかかりそうなので、一旦ホテルに帰って(5分くらい)もう一度最後の準備。ペーサーもゴール地点までの荷物は搬送してくれる。万全の準備をして黒姫のポイントに戻ると、しょーやんが来ていた。彼もペーサーとして来ている。TAKEさんのdrop bagを探して見つけておく。ペーサーはこのエイドは使うことができない。ペーサーはおよそ60km走ることになるけど、10kmごとくらいにエイドがあるし、ペースはそれほど速くないはずだから、水分は600mlボトルを1つだけ用意していた。暑かったけど、水分はこれで問題なかった。あと食べ物はコンビニで買ったくるみ餅を4本と、同じくコンビニで買ったチョコバーみたいなやつ1本。くるみ餅は100円で、エネモチとほぼ同じ味(パラチノースとか入ってないけど)。安くて良い。結局、TAKEさんがエネルギー切れで、エイドごとに僕の持っている食料ほとんどあげてしまったけど。そしてとうとうTAKEさんが黒姫に到着。なんとぱいせんと一緒に16位で来た。

手前のエイドから黒姫まで、トップ選手3人が1:40のところを1:45できている。これはtop10行けるんじゃないか!

いってきま~す

f:id:bungo1103:20190917210941p:plain

ここから林道の上りが5kmくらい続く。しょーやんには事前にここは走ったほうがいいといわれていたので、2人で走る。TAKEさんは100kmの走ってきたとは思えないほど快調な足取りで進んでいく。これまでのレースの感じや体調など、とりとめのないことを話しながら進んでいく。次のエイドは笹ヶ峰グリーンハウスだ。自分のドリンクを補給して、TAKEさんのドリンクを1000ml補給する。エイドは豪華でもっぱらOSJの私には新鮮だった。エイドをぬけて牧場地帯にはいる。結構ふかふかで上りはあるきになってきた。ひとり歩いている選手がいる。だいぶ疲れているかんじで、順位は14位になった。TAKEさんも少しお疲れで、のぼりになると、「ぶんさんすみません、歩いていいですか?」って言ってくる。僕はしょーやんと違って優しいから、そのたびにちょっと歩く。でもまあ、次の木まで行ったら走るぞ!ってなんとか励ましながら進む。

f:id:bungo1103:20190917211517p:plain

歩いてばかりのTAKEさん

f:id:bungo1103:20190917211556p:plain

下りは走れる。

なんか水力発電所みたいな急登をのぼって、キャンプ場みたいなところを通って、とりあえず、ほとんど走れるコース。そしていよいよ大橋林道のエイドに到着。ここで外池さんに出会う。彼はロードもめっぽう速いウルトラランナー。御岳100マイルで知り合いになった(負けた)。かなり疲れてそうで、お先にエイドをあとにする。これで13位だ。TAKEさん、行けるよ!って励ますけど、登りは歩きが多くなってきた。だいぶTAKEさんはグロッキーになってるけど、食べれますっていうからとりあえず食べ物をいっぱい食べてもらう。前との差は20分でずっと変わらない。TAKEさんから「次のエイドまでどれくらいですかね」としばしば聞かれるようになった。走ったことないんやからわからんやろとか、前に110km走ってるのになんで覚えてへんね、とかちょっと思うけど、優しく、適当な距離を教える。あと2kmくらいでエイドで、10位の鬼塚さんまで行けるで!って教えてたら、途中のスタッフにあとエイドまで4.8kmって言われる。TAKEさんにごめん、距離もうちょっとやねとか一応謝る。ここからTAKEさん、さらに撃沈。もうだめですわとか弱音を吐きまくる。まあとにかく食べさす。走って先にいってもついてこないから、横でゆっくり走りながら、ゆっくりでいいから一歩一歩走ろうとか、すごい楽しいことしてるんやで!とかほんまに楽しもう!とか、とにかく励ます。なんやかんやしているうちになんとか戸隠エイドに到着した。ここで吉岡さんに出会う。お蕎麦持ってきてくれた。吉岡さんは去年ペーサーしていて、ここのそばを5杯食べたと行っているけどそんな時間はない。前との差はやはり20分。縮まらない。10位との差は少しずひろがり、かなり厳しくなってきている。

ここからは瑪瑙山に登って降りるだけである。たった400m登るだけ。TAKEさんにもうあと一山やし頑張ろう!って声をかける。UTMBに比べたら全然楽やろう!っていうと、まあそうですね、って言ってくれる。じゃあコルシカのときと比べてどお?ってきくと、コルシカより全然しんどいですと言っている。食事もとれるし、吐いてるわけでないのに、何言ってんね!とちょっと諭して頑張らせる。瑪瑙山の登りは全然たいしたことないのに、これ上まで登るんですか?とか言っている。なんとか上までついて、下りに入ったら、なんとか走れますと。なんとなく下りは回復してきて、ぶんさんちょっと回復しましたって言ってくれる。途中でのんだ川の水がすごい美味しかった。TAKEさんも飲んで生き返ったように元気になってきている。50mほどの登り返しを登って、さらに下りでスピードを上げる。最後のwater aidに到着する。前との差を聞くと13分って言われる。ちょっと詰めている。TAKEさん、前を追いかけよう!って言って走り出す。あんまりスピードを上げるとエネルギーが切れるしスピードが難しい。だいたい5分半くらいで走る。あと8kmしかない。13分縮めるのは厳しいかもしれないけどやるしかない。ほぼ平坦な林道が6kmほど続く。最初の2kmは走れたけど、またTAKEさんは弱音を吐き出した。4kmほど進んだときに、突然後ろから風のように抜かれた。物部さん。「ごめんなさい」って言われて抜かれた。ふたりともショックを受ける。だいぶ後ろとは離れていたのに。2,3分して、TAKEさんが急に走り出した。抜かれたのがショックだったのか、なにかわからないけど、km4分50くらいまでペースはあがる。こっちもちょっとしんどいくらい。TAKEさんすごいよ。あと1kmほどになって、TAKEさんに「よく頑張ったよ、ナイスレースやったね」って声をかける。心からそう思った。10位は無理だったけど、チャレンジしたし。最後は涙のゴール(今回はTAKEさんだけ)

f:id:bungo1103:20190917213544p:plain

もらい泣きしそうになったけど、あんまり泣くと滋賀1みたいに涙もろいとかいわれるからやめておく

f:id:bungo1103:20190917213613p:plain

TAKEさん おつかれ!

 

ゴール後、バスで黒姫方面に向かうが、道の駅でした降りれないと言われる。ホテルに電話したら迎えにきれくれるということだけど、バスの運転手さんが近くを通るからそこでおろしてくれた(イレギュラーです)1kmほど歩いてホテルに到着。

カップヌードル食って、ビールのんだらTAKEさんは一瞬で寝てしまった。

TAKEさん 長い旅をお疲れ様!楽しかったです。

来年もし出たときはペーサーよろしく!

TAKEさんの戦いを詳しく知りた人はこちらをよろしく

 

tkfm913.blogspot.com

 

次回はペース配分解析編です

http://bungo1103.hatenablog.com